JST RISTEXSDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム (社会的孤立・孤独の予防と多様な社会的ネットワークの構築)」
研究課題名「サービス・モビリティと多形態コミュニティの繋がりによる社会的孤立・孤独予防モデル」



研究体制
・東海国立大学機構 名古屋大学(研究代表者/グループリーダー:米澤 拓郎
・東京大学 (グループリーダー:細田 満和子)
・慶應義塾大学(グループリーダー:中澤 仁)

協力機関
・神奈川県大磯町
・インターネット
ITS協議会
・大磯地方創生事業推進コンソーシアム
・星槎大学
・慶應義塾大学SFC研究所 地域IoTと情報力研究コンソーシアム
・慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアム

多様性への理解が進み、画一的な価値観を強いられない社会の実現が目指される一方で、1)少子高齢化に伴う地方交通網の衰退による物理空間の移動性の低下と、2)情報過多社会ゆえの、フィルターバブル(好みの情報が自動選別され、似た意見や関心に狭まる現象)と選択的接触の影響により、個人の興味・思考が固定化されるという情報空間の移動性の低下が懸念されています。近年ではメタバース等、物理的な移動の必要がない新たなコミュニティの形態も期待されるが、そこへの接触機会や興味がなければ、人々が頼れる居場所を増やすことはできません。少数の限られたコミュニティにのみ依存し、そこに留まってしまうのならば、誰しも潜在的に社会的孤立・孤独の予備軍であるとも考えられます。本プロジェクトではこれらの問題に対し、情報技術やモビリティ技術をツールとして活用し、時間・空間的な制約に縛られず、偶発的な出会いと愛着を誘引する孤立・孤独を産まない新たな社会像を描き、その実現を目指しています。

まず、孤立・孤独のメカニズム理解として、新たな情報やコミュニティに対する人々の接触機会および参与姿勢を主観および客観的なデータの収集・分析により測り、孤立・孤独感尺度との関係性を明らかにするとともに、その孤立・孤独のリスク指標化と可視化を試みます(図1)。さらにこの理解に基づき、偶発的な出会いと愛着を誘引するため、「ポータル」としてオンライン・オフラインの多形態のコミュニティへと接続することが可能な1)地域の住民が集える「場」と、2)地域を巡るサービス・モビリティ(移動販売車、移動図書館、移動健診車など)を活用した孤立・孤独予防モデルを構築し、大磯町において実証を行うことを計画しています。

本プロジェクトを通して、「多様なつながりを絶えず増やしていくことが、個人の人生や地域のレジリエンス向上に必要である」という意識を住⺠、企業、行政、専門家、支援団体など全員が共有し、それを支援することで、地域全体に社会的孤独・孤立の一次予防的機能を内包することを図ります。


Pasted Graphic
図1:孤立・孤独のリスク指標化と可視化

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図2:本プロジェクトで構築・実証する社会的孤立・孤独予防モデル